パンラボ池田のパン×お茶探求
パンに合うのはどんなドリンク?
__池田さんは、1年間どれぐらいのパンを食べますか?
池田さん(以下、池田):だいたい1日3食以上だから、少なくとも年間1000回以上は食べてますね。
__えー、そんなに! パンを食べるときは、どんな飲み物といっしょですか?
池田:パンを買ってすぐ、外で食べることが多いので、自動販売機やコンビニでペットボトルを買います。缶コーヒーだと甘さや苦味が強くて、パンの味がわからなくなってしまうので、あまり買うことはありませんね。
__そうするとお茶ですか?
池田:はい。お茶でも、苦味や渋みが出ているタイプ、甘いタイプも、パンを味わう上で邪魔になってしまうので、避けています。ジャワティはそういうところがなく、口の中をリセットしてくれるのでいいですね。
__ジャワティには、味わいの異なるレッドとホワイト2種類があるので、どんなパンに合うのか楽しみです。
パンとお茶の合わせ方とは?
__池田さんはたくさんのパンを食べていると思うのですが、今回、持ってきていただいた6つのパン、どんな基準で選んでいただきましたか?
池田:パンも発酵食品、お茶も発酵食品なんですよね。ジャワティのホワイトはほとんど発酵させない微発酵、レッドはしっかりと発酵をとったタイプなんですよね?
__はい。お茶は葉に含まれている酵素の酸化による発酵なのですが、発酵の度合いによって味わいが異なります。
池田:パンの発酵は酵母によるもので、お茶とは異なる発酵ですが、お茶と同じように、パンの中でもあまり発酵させてないもの、発酵度合いの大きいものがあります。
__パンの発酵と味はどういう関係があるのですか?
池田:発酵が進めば進むほど、発酵でできる香りや甘さがのっかってくる一方、原料の小麦がもともともっていた香りや甘さは消えていきます。発酵が浅いと、小麦の状態であった香りや甘さを生かすことになります。それって、小麦を茶葉に置き換えれば、紅茶ととてもよく似ていませんか?
__たしかに!
池田:なので、発酵の浅いパンはホワイト、発酵の長いものや発酵種を使ったパンはレッドと相性がいいと思います。
__おもしろいですね! 他にはどんな合わせ方がありますか?
池田:香りの似たもの同士で合わせたりもできますね。いちばん簡単なのは、色で合わせること。色の濃い赤っぽいパンにレッド、色が薄い白っぽいパンにホワイトを合わせるといいかと思います。
6つのパンをジャワティに合わせてみた!
・自家製ハムとグリュイエールサンドイッチ(365日/東京 代々木八幡)× ジャワティホワイト
池田:さっき、ホワイトが微発酵だという話が出ましたが、365日の製法は、まさにそれ。発酵させすぎないで、小麦の甘みをひきだす。絶対合うなと思ってました。食べてみましょう。
__ホワイトがこのパンにすごく寄り添うんですね。驚きました!
池田:お肉そのものの甘さ、チーズの甘さ、小麦の甘さ。いろんな甘さを重ねて、甘さのオーケストラができる。そこに同じようなトーンでホワイトが寄り添ってくれますね。
__ハムといえば、いままでレッドを選びがちでした。
池田:いまハムを自家製するパン屋さんが増えているんですよね。こういう低温調理タイプにはホワイトが合うと思います。ラーメン屋さんの低温調理のチャーシューもそうですね。
・ミュスカ(カタネベーカリー/東京 代々木上原)× ジャワティホワイト
池田:レーズンパンなんですけど、マスカットレーズンを使用しています。ホワイトを飲んだときそれに似た香りがしたんですよね。
__ジャワティホワイトの茶葉は高地の農園で栽培されていて、甘い香りの中にグリーンな香りがあります。
池田:だから似ているんですか!
__(食べてみて)お茶の香りとレーズンのさわやかな酸味が合いますね。
池田:パンに使われている十勝・中川さんの小麦も草っぽい香りがあって、それとも合っていると思います。
レッドはどうですか? このパン生地を嗅いだら、じっくり熟成させたルヴァン種の香りがあって、レッドと相性よさそうなんですよね。
__レッドでも風味が広がりますね!
池田:逆に、レッドにレーズンのフレーバーがあったんだって気付かせてくれる。レッドとホワイト、それぞれ別の合い方をしてくれますね。
・モーニングブレッドのバタートースト(セテュヌ・ボンニデー/神奈川 向ヶ丘遊園)× ジャワティレッド
池田:北海道産小麦がしっかり香るのに、口溶けがすごくいい食パン。これには、ちょっと変化球で、ティーオレで飲んでいただきたいと思って。レッドと牛乳を1:1で割って、ティースプーン半分の砂糖を入れます。
__(味わって)バタートーストと乳の感じが合いますね。
池田:はい、ミルキーなものとお茶の香りという組み合わせは、バターのミルキーさと小麦の香ばしさ、両方の面があるバタートーストに寄り添ってくれます。
__食パンってちょっと甘い部分があるので、口の中をすっきりさせるのにいいですね。
池田:そうなんですよ。甘さや油脂分が舌に残る感じを、レッドの渋みがさわやかにしてくれるんです。
__ポリフェノールのおかげですね。
・カレーパン(カタネベーカリー/東京 代々木上原)× ジャワティレッド
池田:ポリフェノールの渋みには、油脂の後味を切ってくれる力がある。だから、カレーパンみたいな脂っこいものには、レッドが合うんじゃないでしょうか。
__このカレーパン、割ると、中からニンジンがいっぱい!
池田:(食べてみて)野菜のやさしい甘さをすごく感じるカレーですね。パンもしっかり小麦の甘さがしますし。
__生地がそれを包みこむようです。普通のカレーパンのように、甘さやしつこい感じがあまりないですね。
池田:はい。すべてがやさしいこのパンだから、ナチュラルな作りのジャワティがよく合ってくれますね。
・クリームパン(パーネ・エ・オリオ/東京 護国寺)× ジャワティレッド
池田:パーネ・エ・オリオはイタリアで修行したパン屋さん。このクリームパンも、オーソドックスな中に、イタリアっぽさをちょっと入れてるんです。
__(食べてみて)これは!とてもよく合いますね!
池田:クリームとレッドが出会うことで、口の中でミルクティのような味わいを感じます。
__フルーティな感じもあって、それがレッドによく合います。
池田:はい。これは普通の菓子パン生地ではなく、イタリアのコルネッティというパンの生地で、オレンジウォーターが入っています。柑橘の香りとレッドが出会うと、アールグレイっぽくなりますね。
・白あんぱん(365日/東京 代々木八幡) × ジャワティホワイト
池田:白と白で組み合わせてみました。あんぱんには日本茶が合うって前から思ってたんです。ホワイトは微発酵なので、発酵させない日本茶と似ているところがありますよね。
__(食べてみて)この白あんがホワイトとすごくよく合いますね!
池田:白あんもホワイトも、フルーティじゃないですか?
__たしかに、そうですね。
池田:この白あん、低めの温度でゆっくり炊いているから、白インゲン豆の香りがよく残っているんです。豆やお茶がフルーティっていうと、変だと思うかもしれませんが、素材そのものの味が残っていると、フルーティに感じられるときがあります。
結論:ジャワティは、いろんなパンと相性がいい!
__今回、いろいろ食べてみてどうでしたか?
レッドとホワイトという2種類で、驚くほどいろんなパンをカバーできるんだなと思いました。具材や生地のニュアンスに合わせて、お茶の中に隠れていたいろんな香りが見えてきて、表情を変えてくれました。
__日本に育つ自然な小麦を使ってパン屋さんが手作りしたパンだから、茶葉の香りを大事にしたジャワティが合うんでしょうね。